分割協議書作成時の注意点①
遺産分割協議の内容は、相続人の同意があればどんなものでも問題はありません。
したがって、協議書に書かれる内容も、例えば「長男大山一郎の相続分をゼロとする」などと書かれていても、本人が同意していれば問題はありません。
しかし、この協議書の作り方、書き方に欠陥があるために、せっかく作った協議書を作り直さなければならないことがあります。
財産の範囲が不明確なときは書き直し
協議書を書くときに最も注意しなければならないポイントは、分割する対象財産を明確化することです。不明確になりがちな原因として、預貯金が特定できない、不動産の表記が不明確で特定できない、協議書を作成したあと財産が見つかったり、誰かが財産を隠していた場合などがあります。
①預貯金が特定できないとき
預貯金口座を複数もっている場合があります。いくつかの銀行にそれぞれ種類の異なる口座をもっていたり、郵便局にも普通口座や定期口座などが複数あることもあります。このような場合に「銀行預金を〇〇〇〇の所有とする」「郵便局の貯金を〇〇〇〇の所有とする」などと協議書に書いても、どの銀行のどの口座のものなのか、どの郵便局のどの口座のものなのか、特定できません。
このようなケースでは、協議書を作り直さなければなりません。
このような失敗をなくすためには、預貯金の場合、次の5点を明確にしておかなければなりません。
(1)金融機関名(2)その支店名(3)口座の種類(4)口座番号あるいは証書番号(5)最終残高(相続発生時の残高)
一つの金融機関に一つの口座しかない場合以外は、必ず右記の5点を明確に記載することで特定します。
②不動産の表記が不明確なとき
財産分割の中で、不動産の占める割合は金額面でも大きなものになります。それだけに分割に際しては厳密さが要求されます。また、社会的にも「登記」という行為によって法的厳密さを保っています。ですから、不動産の分割に際しては、登記簿謄本の記載と一致させなければなりません。
◎建物の場合に必要なものとしては
・所在・家屋番号・種類・構造・床面積
◎土地の美に必要なものとしては
・所在・番地・地目・地積
これらのことを、登記簿謄本と一字も違うことなく記載されていなければならないのです。
③協議書を作成したあとに財産が出てきたとき
相続人の一人が隠しておいた財産があったり、みんなが気づかなかった財産があとから出てくることも現実にはあります。
このような場合は、法の建前からいけば最初から協議のやり直しとも考えられます。
しかし、相続人全員が最初の協議は有効として納得できるものであり、協議後に出てきた財産については特定の相続人が相続してもらうというような合意が得られれば、最初の分割協議書はそのまま有効とすることができます。そして、作成後に出てきた財産についてのみ、改めて相続人全員で協議し、分割協議書を作ることもできます。
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