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遺言と相続②

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遺言とは「意思」を通すこと

現在の民法では、自分の意思を最優先し、また遺産分割にかかわるトラブルを最小限に防止するためには、遺言書の作成が最も確実な方法です。それは、遺言による相続が法定相続での遺産分割(均分相続という)より優先されるからです。
その中でも次のような場合は、特に遺言書の作成をしておいたほうがよいでしょう。
◎子供がいないので、残される妻に全財産を相続させたい(自分の父母や兄弟姉妹などに相続させない)とき
◎共同相続人(相続する何人かの人たち)ごとに、特定の財産を自分の思うように指定配分したいとき
◎特別にお世話になった家族、親戚、友人の誰かに財産の一部を贈りたいとき
◎内縁関係にある人にせめて財産の一部を贈りたいとき
◎孫にも財産の一部を贈りたいとき
◎事業や農業を継続させるために財産を分散させたり、細分化したくないとき
◎ある団体の資金の一部として寄付したいとき

遺言できる主な内容
民法では具体的にどのようなことが遺言できると定められているのでしょうか。5点ほどあります。

①遺産分割の方法の指定
遺産分割の方法には、次の3種類があります。
(1)現にある遺産の現物分割をすること
(2)何かの代価に見積もる換価分割をすること
(3)何かの代わりとしての代償分割をすること
例えば「土地と家は甲に、預金は乙に与える」と遺言書に書かれてあれば、この内容に基づき、特別の事情がないかぎり(1),(2),(3)のいずれかの遺産分割方法で分割します。また、第三者に分割方法の指定を委託することもできます。

②相続分の指定
個々の相続人(財産を相続する資格のある人)が取得する相続分(誰がどれだけ相続するかの割合のこと)について、被相続人(財産を遺した人)は相続人の一部または全員のものを、自分の意思に従って指定することができます。また、相続分の指定を第三者に委託することもできます。
遺言で相続分の指定だけがなされた場合(例えば、田中太郎に〇〇の土地を半分相続させるというようなケース)は、具体的に分割する段階では相続人全員によって、その点も考慮に入れて分割協議されることになります。

③特別受益の持ち戻し免除
被相続人の生前中に、ある相続人が贈与を受けた財産(特別受益分という)を、相続分を算定するときに含めることを「持ち戻し」といいます。
各相続人の具体的相続分を算定するにあたって、この特別受益分を含めて相続分の割合を乗じるのが原則です。
しかし、遺言者はこの特別受益の持ち戻しを免除する(含めないようにする)ことを遺言することができます。つまり、相続分算定にあたって特別受益分を含めないで乗じてほしい旨を遺言できます。ただし、特別受益分が多すぎて遺留分(民法が保障している最低限度の相続分のこと)の割合を侵害するような場合は、侵害された相続人は減殺請求をすることで排除できます。

④遺贈
遺贈とは、遺言で財産を他人に無償で贈ることをいいます。
例えば、遺言で何かの団体や個人に寄付することも遺贈にあたります。財産を公益活動に役立てるために銀行などに公益信託をする場合も遺贈になります。未成年者、障害者など特定受遺者(遺贈を受ける者として遺言で指定された人)の財産を守るために私益信託をする場合もありますが、これも遺贈になります。
遺贈による財産処分は、遺留分の規定に違反しないかぎり、遺言者の自由意志に任されています。
仮に、遺言者が遺留分を含めた全財産を遺贈してしまった場合でも、遺留分権利者が、それは遺留分規定に違反しているとういう手続きを請求できる期間内(相続があったこと、および自分の遺留分が侵害されていることを知ってから1年、あるいは相続開始のときから10年)にとらないかぎり、遺言どおり実行されます。

⑤負担付き遺贈
遺贈の条件として、受遺者(遺贈を受ける人)に、残された自分の妻の生活の面倒を見させたいような場合、遺言にその旨を書いておくことによってその負担を実行させることもできます。これを、「負担付き遺贈」といいます。

☆死因贈与と遺贈・生前贈与

相続は被相続人の死亡と同時に発生します。それと同様に、贈与する者が死んだ時点で効力が生ずる贈与があります。
これを「死因贈与」といい、理論的には遺言による相続とは異なります。
例えば父親が生前、長女に「私が死んだら〇〇の土地をあげる」と約束し、長女が承諾した場合などで、これは相続ではなく贈与になります。
死因贈与が贈与する側と受ける側との合意による契約であるのに対し、例えば、多いケースとして法定相続人になっていない孫などへの遺言による贈与を「遺贈」といいます。この遺贈は贈与を受ける側の意思に関係なくなされる行為なのです。
前記の、死因贈与は民法上、遺言によって財産を処分する相続に準じて取り扱われます。実質的には遺言による相続と同様に考えても不都合を生じないからです。ですから税法上も相続と同様に考えられ、贈与税ではなく相続税が課税されます。
そして、2003年1月より、2500万円までの生存中の贈与(生前贈与)については、非課税になりました、ただし、将来の相続時に、その分の相続税もかかることになります。相続税がかからない範囲の財産の人にとっては都合がよいです。

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