遺言と財産相続との関係②
相続人の優先順位
相続人が数人いる場合(これを共同相続人という)に、その共同相続人のうち誰がどれだけ相続するかの割合のことを相続分といいます。相続分には遺言による「指定相続分」と民法の定める「法定相続分」があります。
◎指定相続分
相続分は被相続人(財産を遺した人)の遺言で決めることができます。これを「指定相続分」といいます。
◎法定相続分
民法で定められた相続人それぞれの相続分を「法定相続分」といいます。相続するということは、特に手続き(限定承認や相続放棄などの手続きのことで後述)をしないかぎり、相続人は被相続人の財産上のすべての権利・義務を、単純に承認したものとみなされます。これを「単純承認」といいます。相続はこの単純承認が原則ですから、プラスの資産だけではなく、マイナスの資産も引き継ぐこともあります。
代襲相続
相続人であるはずの子が、被相続人である親よりも先に死んでいる場合は、その子、つまり被相続人の孫が相続人になります。
また、子や孫、父母や祖父母など直系尊属が誰もいないときは兄弟姉妹に相続権が発生しますが、兄弟姉妹がすでに亡くなっていたり、相続の欠格事由に該当している場合もあります。そのようなときは、その子、つまり、被相続人の甥や姪が相続人になります。
これらのケースを「代襲相続」といいます。
相続欠格(相続人の資格を失う)
民法の規定から考えて一般的に相続人になるはずの人を推定相続人といいますが、たとえ推定相続人でも、次のような行為があると相続人の資格がなくなります。このことを「相続欠格」といいます。
◎被相続人を殺したり、殺そうとしたり、自分より先の順位や同順位にいる相続人を殺したり、殺そうとして刑に処せられた者。
◎被相続人を殺したり殺そうとした犯人を知っていながら、犯人を告訴しなかった者。ただし、その者に是非の判別がないとき、または、その犯人が自己の配偶者もしくは直系血族であったときは該当しない(人間の心情として告訴を要求するのは酷であるという理由による)。
◎被相続人をだましたり脅かしたりして、被相続人が遺言したり、遺言を取り消したり変更しようとすることを妨害した者。
◎被相続人をだましたり脅かしたりして、被相続人の意に反して遺言を取り消させたり、変更させた者。
◎被相続人の遺言書を故意に偽造、変造、破棄、隠匿した者。
相続廃除(相続人が相続権を失う)
「相続廃除」とは、被相続人の生存中に遺留分を有する推定相続人(兄弟姉妹以外の相続人)が被相続人を虐待したり、重大な侮辱を加えた場合や、推定相続人自身にその他の著しい非行があった場合、被相続人が生存中に家庭裁判所へ申し立て推定相続人の相続権をあらかじめ奪うことです。
それとは別に、家庭裁判所に申し立てなくても、遺言でそのような推定相続人を廃除することもできます。
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